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TOKI MINOYAKI STORY
Story08
器とタイル製造の技術が生み出す、唯一無二の器
有限会社 丸仙化学工業所 水野 寿昭
Profile
有限会社 丸仙化学工業所
水野 寿昭
〒509-5301 土岐市妻木町2460-1
Tel.0572-57-8255
http://www.jyuzan.co.jp
Instagram jyuzan.1898
Facebook 「寿山窯」

器の制作から、内外装特殊タイル製造へ
鈍く光るような鉄釉の器の上に、品よく盛り付けられた色とりどりの料理。食材の鮮やかな色合いが鉄釉の黒によく映え、その凛とした美しい佇まいに、今日この日の料理を噛みしめて味わう。
この用の美を貫く、料理が映える器を生み出したのは丸仙化学工業所。創業は1898年。土岐市の伝統産業である美濃焼の技法を使った器を制作しているが、実は内外装特殊タイルを制作する特殊なメーカーだ。
創業時は初代の水野仙九郎氏が陶器づくりを始め、主に伝統的なやきものである志野釉や織部釉の徳利やぐい吞み、抹茶茶碗などを制作。昭和に入り、家庭でも洗面台や浴室などの水回りにタイルが用いられるようになると、将来性を見据えて大幅に方向を転換。やきものの技術を生かし、タイル生産へと乗り出した。
その後、動力を使って土を混練する土練機を導入したことから、タイル生産が全体の8割にまで上るなど、本格的にタイル製造へと主軸を移行。以来、内外装特殊タイル製造メーカーとしての地位を確立してきた。

タイル製造技術を生かしたブランドづくりへの挑戦
しかし2012年、大きな決断を迫られる。2007年に施行された建築基準法改正に伴う定期報告制度の厳格化により、特殊建築物のタイル外壁における10年毎の全面打診の義務化がなされたのだ。これにより、施工者の管理費が大幅にかかることが予想され、国内のタイル需要の落ち込みが危惧された。そこで、4代目である水野寿昭さんは陶器生産に再び力を注ぐことを決意。それまで生産品目の大半を占めていた灰皿製品のほかに、商社からのオーダーではない、独自のブランドとして企画した新しい器を創り出せないかと考えた末に思いついたのが、デザインで魅せる“創作陶器”だった。

そうと決まればと早速、陶器専門のデザイナーを起用。「これを機に、大量生産で価値が薄れてしまった美濃焼のイメージを変えるものを」と、美濃焼の伝統技法を現代風にアレンジした、あえて普段使いではない器の開発が始まった。
コンセプトは四季の鮮やかな料理が美しく盛り付けられる器。東京や大阪などの格式高い料亭や割烹料理店に足を運び、素材が映える器を研究。さらに、他社では作りにくいものをと考えた時に、タイル製造の技術を生かすことをひらめいた。
“やきものは四角が難しい”といわれるように、成形することはできても、素焼きや焼成の前に乾燥させる工程で、四隅からひずみや切れ、割れが出てしまう。「そこで、うちが長年培ってきたタイル製造の技術が生きたんだ」。

創業100余年の技術を集結させた、新しい美濃焼。
そして、2年の歳月をかけて完成したのが「雪月花 -朧夜-(おぼろよ)」だ。
引き締まった鉄釉の色合いが重厚感のある、四角い大皿。それまで円い大皿は作られてきたが、これまでにない、四角いプレート状の器を作り出した。
美濃地方の粘土を主に、陶磁器の原料となる13種類もの長石や陶石を混ぜたオリジナルの土は、焼き上げた時も土本来の味わいが残るように開発したもの。さらに、薄いものや板状のものを作り出すときに適している、タタラ製法を採用し、一枚一枚手作業で成形。成形したら1300℃の窯で38時間、還元焼成と酸化焼成の中間の中性焼成で焼成する。これにより窯内部に温度差が生じることで焼きムラが生まれ、風合いがぐっと増す。
「人の手じゃないと出せない味を、器もタイルも、大切にしてきました。それはこれからも変えないね」。
美濃焼の伝統的な技術と、タイル製造の技術。そして、人の手を加えることで、まさにこれまでにない意匠性を生み出した「雪月花」は、今や有名リゾートホテルからも注文が舞い込む看板商品となった。

「美濃焼ってどうしても安売りのイメージがあるんだよね。それは大量に生産できてしまう、どんなものも作り出せる技術があるから。でも、そのイメージを変えていきたい。土岐市の一つの企業として」。さまざまなやきものを生み出せる美濃焼の魅力こそが、弱点でもあると話す水野さん。そこで彼が選んだのは、価格競争には陥らない、唯一無二の器を作り出すこと。それは形、質感、風合い、どれにもこだわり抜く姿勢を貫くこと。
水野さんの表情は晴れやかだ。きっとそれこそが美濃焼の価値を高めると、この決断を真っ直ぐに信じているから。

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