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TOKI MINOYAKI STORY
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感性の赴くままに生み出す、唯一無二の美濃焼。
玄保庵 加藤 保幸
玄保庵 加藤 保幸
Profile
玄保庵
加藤 保幸
〒509-5202 土岐市下石町1427-1
Tel.0572-57-7292
http://genpoan.com/
玄保庵
玄保庵
家業の上絵付に従事。49歳で陶芸家の道へ
徳利の産地として知られる土岐市下石町。住宅が並ぶ細い路地を進むと、伝統的な穴窯と煙突がふと目に留まる。隣の工房では加藤保幸さんが今日も作品と向き合っている。 加藤さんは下石町で上絵付を営む家で生まれ、ごく自然に跡を継いだ。絵付けは受注産業。商社から依頼されたうつわに指定の絵を描くうちに、ふつふつと作品づくりへの熱が芽生えていった。「いくらきれいに描けても自分の名前が出ることはなくてね。好きなように作品を作りたくなったんや」。時はバブル直前。思い切って窯と土を購入し、作家としての道を歩み出した。49歳、遅咲きのスタートだった。しかし、絵付け以外の工程はどれも初心者。仕事の傍らとにかく土を触り、週末には足繫く個展に通い多くの作品に触れた。独学で技術を修得し、60歳でこの玄保庵を開いた。
玄保庵
造形美と絵付けを融合した作品を
自らの個性は何かと見つめ、たどり着いたのは何十年も携わってきた絵付けの技術だった。そして、美濃焼に繊細な上絵を施した、「彩華錦(いろどりはなにしき)」のスタイルを確立した。「彩華錦」は個性的な造形に、赤絵や呉須といった装飾を加える。例えば、紐状にした土を積み上げて成形する香炉は、今にも動き出しそうなほど躍動感がある。そこに古典柄を代表する優美な萩文様を金彩で施し、モダンと伝統の妙を光らせる。はたまた、釉薬をかけず高温で焼成し、窯変による独特な風合いを楽しむ締焼には、金彩や銀彩でススキを描き、唐草模様をあしらう。「人と同じものは作りたくないし、量産もしたくない。常に新しいものを作りたくて。やりたいようにやってるだけなんやけどね(笑)」。その言葉通り、加藤さんの作品は同じ作家が手掛けたとは思えないほど、幅が広い。インスピレーションの源は日課とする毎日5キロの散歩。季節の香りや雲の形、風に揺れる木々、すれ違う人々。目に映る全てがアイデアの欠片なのだ。
玄保庵
変化を恐れず、ありのままを表現
「彩華錦」で美しさを追求する傍ら、公募展にも精力的に出展する。これまで何度も入賞を果たしてきた日展では、造形に特化した作品で勝負してきた。女性のしなやかな曲線をモチーフにした「共生」は、力強さと柔らかさが共存。また、地面を突き破って流れる溶岩流を表現した「風韻」では、山肌のざらつきや地表のひび割れも見事に再現した。既成概念に縛られず、どこまでも自由に。常日頃から新しい造形を模索し、思いのまま描いたスケッチを具現化していく。「頭で想像するだけでは駄目。平面と立体とでは全然違うから、とにかく手を動かすことが一番」。手びねりで成形しながら、自らの感性に従い、作っては壊しを繰り返す。こうして、生命感あふれる力強い作品が誕生するのだ。 さらに、近年の日展作品では鮮やかな赤色が目を引く。「赤は華やかな色。暗い話題が多い時代だし、作品を見た人が元気になってくれたらうれしいね」。年齢を重ねるごとに考え方は変わる。変化に身を委ね、その時々の思いを素直に作品へと投影する。噓がなく、真っすぐな加藤さんの作品には、思わず引き寄せられる不思議な魅力がある。
玄保庵
玄保庵
自らの生きる道で、若者の未来を拓きたい
玄保庵はカフェ・ギャラリーとしての役割も備える。自身の作品の展示はもちろん、若手陶芸家の作品も展示する。また、10年以上前から岐阜県立土岐紅陵高等学校で陶芸を教えるなど、若い世代との交流も積極的だ。さらに、毎年12月には穴窯に火を入れる「窯焼き」が行われ、炙りから一週間火の番をし、期間中は多くの人々と触れ合う。「いろいろな人と会うと、視野が広くなる。全ての出会いに感謝です」。陶芸家として食べていくことは簡単な道ではない。しかし、若者にその夢を諦めてほしくないと、自ら前を切り拓き、後ろに続く道を作ろうとしているのだ。 そして今、加藤さんには新たな構想がある。よりダイナミックな造形に、持てる絵付け技術を注ぎ込んだ、まさに「彩華錦」の集大成ともいえる作品づくりだ。「やっと表現したい仕事が見えてきてワクワクしてるよ。今が旬かもしれんね」と目を輝かせ、屈託のない笑顔を見せる。まだまだ力を試したいと、個展の開催を視野に入れる。御年80歳。自分自身と向き合い続け、常に変化を厭わない姿は、未来の作家たちの道標となるだろう。
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玄保庵 加藤 保幸
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藤山窯 加藤 賢治
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