美濃焼のまちの入り口にある製陶所
JR中央本線土岐市駅から徒歩5分、土岐市の入り口に工房を構える角山製陶所。週末になると、市外や県外から多くの客が訪れる。人々の目的は、5代目の伊藤真さんが教える陶芸教室だ。年間約250人が体験に訪れ、和気あいあいと作陶を楽しんでいる。
創業は明治30年。角山製陶所は、伊藤さん夫妻と1名の職人、たった3人で切り盛りする小さな窯元だ。長年、地域で生産が盛んな湯呑みや茶碗を中心に請け負ってきた。一つ一つ、水ゴテで成形したうつわを、オーダーに合わせて削り、手書きで絵付けをする。その丁寧な手作業の技術を生かしたランプシェードや置物などの受注商品も人気を集めている。
しかし、伊藤さんは歴史と技術を守るなかで、市場のニーズ変化も感じていた。「今は、マグカップひとつでお茶もスープも飲む時代でしょう」。店舗から変わらず湯呑みの注文はあるが、需要は減少していくだろう。小さな窯元にできる、新しい道を探さなければ。美濃焼を、土岐市を盛り上げるにはどうしたらいいだろう。