お茶席で使われる茶陶を製作
土岐市泉町にある陽山窯。この窯の3代目である水野雅之さんは令和元年、美濃陶芸協会による「第37回 卓男賞」を受賞した。この賞は、優れた作家活動と美濃陶芸の育成に尽力した者に贈られる。昭和32年に土岐市に生まれ、初代、2代目と皇室に美濃焼を献上してきた由緒ある窯を守りつつ、オリジナルの紫志野、古美濃、美濃山を創作するなど、幅広い活動を続けてきた功績が認められたのだ。茶道裏千家助教授の肩書を持ち、自らもお茶を点てる水野さんは、主に茶の湯の席で使われる陶器「茶陶」を製作している。全国各地で開催される展示会に出展しているため、作陶に追われる毎日だが、水野さんは作品の製作過程について多くを語らない。「出たとこ勝負で作品がすべて。苦労話なんて表に出さなくていい。すべて作品が語ってくれるから」。作家・水野雅之の創作活動は、美濃桃山陶における伝統・文化の継承と、そこに現代の息吹を加える革新の連続といえるだろう。