中国古来のうつわの美しさに魅せられて
穏やかな青の濃淡が美しい青白磁と、“アイボリーホワイト”と称されるほのかに黄味を帯びた温かみのある白磁。快山窯のうつわにはどれも、ほかにはない品位が備わる。「凛として気高く、威張らず、へつらわず。でも心の中にすっと入ってくるようなうつわでありたい。そういうこだわりで作っています」。そう話すのは、10代目の塚本満さんだ。
創業は約300年前。江戸時代から代々作陶を行ってきた快山窯の大きな転機は、9代目・塚本快示さんが当主を務めていたときだ。昭和初期、日本がまだ先進国ではなく混沌としていた頃。そんな時代の波の中で快示さんが出会ったのが、中国・北宋時代に作られた青白磁と白磁だった。手にする人の心を豊かに、前向きにするような美しさ。「こんなに素晴らしいものがあるのか」と快示さんは感銘を受けた。そして、中国の高層階級のものとされていたそのうつわを日本の一般家庭にも広く届けたいと、青白磁と白磁を自らの手で生み出そうと研究に没頭。入手した青白磁と白磁の陶片を肌身離さず持ち歩き、試作を重ねて少しずつ材料や焼成の手掛かりを見つけ、その製法を導き出していった。